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北海道:道南方面で遠投大好きなオヤジです。  こじんまりとした釣りクラブの代表なんてしてたりして (=^_^=) ヘヘヘ  
2011年12月28日 (水) | 編集 |
熊石町(今は八雲町と合併し、二海郡八雲町熊石区と呼ばれています。)で、
海が一望できる場所で船を待ち、見えなくなるまで見送ったそうです。
コレが最後かと思うと奥さんは号泣し、
旦那さんは凛とした気持ちで立ち向かったつもりだったそうですが、
頬を伝う涙には逆らえなかったと言います。
後で奥さんが、
「お父さんが涙を流したを見たのは子供達の結婚式と、
漁師を辞めると決めた時だけ。
仕事に関してはとても自分に厳しい人だったから、
愚痴一つこぼす人でなかったんだよ。
今回ほどあんなに泣いたお父さんを見たのは初めて・・・」
こっそり教えてくれました。

奥さんは親戚の魚の網外しのタメ、毎日早朝、漁港に出掛け、
旦那さんは奥さんの送り迎えし、あまり動けなくなってきた手足ですが、
日中は近所に頼まれた網直しをして、その日その日を過ごしていたそうです。
その内に持病だった腰が悪化し手術を受けましたが、
残念な事に左足は殆ど動かなくなりました。
それでも海が恋しくて車イスに乗りながらでも、
対岸まで行って海を眺めるのが日課となったそうです。

ある日、嫁一人で尋ねた時に、
「ちょっと手伝って欲しいんだ。」
車イスに乗りながら作業小屋まで案内し、
「2階になる網見てくれないか? 
ネズミにかじられていないか心配なんだ。
もしそうなら直さないとな。」
と言ったそうです。
奥さんは、
「殆どの網は譲ったんだけど、
長年使ってきた網だから、この網だけは手放さないって言うの。
船も手放したのにね、可笑しいでしょう?」
旦那さんの心情を組み取って作業小屋の2階に干してありました。
そして旦那さんは、
「もう一度沖に出て網をさすのが夢なんだ。
全部借りモノって言うのも気が引けるから、この網を使うんだ。」
と言いながら、車イスからヨロヨロと立ちあがり、
「わし、毎日、一歩でも歩けるようになりたくて練習しているんだ。」
とも言ってました。
その後、完全に車イス生活を送る旦那さんのタメ、
冬場は島牧村にある診療所の近くに一軒家を借り、夏は自宅に戻り生活を送っています。

今年のある日曜日、お伺いした時には奥さんが、
「お父さんね、昨年は脱腸の手術してね、ちょうど今頃帰ってきたんだよ。
この頃は筋力も落ちちゃって足も動かなくなってきたし、
耳もだいぶ聞こえなくなってきているの。」
お茶をすすりながら、
「お父さんね、今年の夏、
朝起きたら右目が何も見えない、真っ暗だってって言うから、
隣の診療所の先生(医師)に診てもらったら、
すぐに札幌の大学病院に救急車で送られたんだ。
色々調べた結果、血栓が良い方の目に詰まってしまって、右目の視力を失ったの。
コレが頭や心臓で詰まっていたら命がなかったと言われた。」
再度お茶で喉を潤してから、
「でもね、不思議なんだけど、
目が見えなくてもちゃんと左右上下には動くんだよね、眼球が。
左目は顔面神経で左瞼が垂れ下がっているから、
出来ればそっちの目が見えなくなった方が良かったのに。」
と残念そうに言い、ちょっとだけ困った顔をして、
「視力が落ちている左目だけでTVを見るから、画面が見づらいって言うの。」
身ぶり手ぶり付きで、旦那さんの病状と現在の健康状態を教えてくれました。
旦那さんはそんな話を聴きながら、
「もう一度沖に行って魚の顔がみたいな~」
窓から海を眺めてポツリと言います。
どんな想いで漏らしたのか・・・
その心情を思うと何も言えず、旦那さんの横顔を眺めるしかありませんでした。
きっと自分の意思に反して自由に動かぬ身体とは裏腹に、
心の中では、今も、自由に、海の上で漁をしている事でしょう。

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